【総務課・人事課必読】入社1年目の教科書がゴミと言われる理由を徹底考察

コラム・独り言

お疲れ様です。アッキーです。

 

今回はネットで炎上した「入社1年目の教科書」について考察・解説しようと思う。

 

ただ今回は本で書かれている内容にはほぼ触れないつもりだ。

「これは昭和丸出しのゴミだ」

「そこまでゴミとは思いません」

「一部参考になると思います!」

という結論や意見はもう既に出回っているからだ。

 

そんな考察はしても今更感があるし、需要はない。

 

なので今回は

・「入社1年目の教科書」の内容について

ではなく、

・「なぜ「入社1年目の教科書」がここまで評価が割れるのか

について徹底的に考察しようと思う。

 

8年間の社会人経験から頭をフル活用して考察してみた。

 

最後には

「この本の有効利用の仕方」

「新社会人(新人)への渡し方」

も提案する。

 

人事課や総務課等には是非とも読んでほしい。

 

これを読めば

・新社会人はこの本を「ゴミ」だというのか

・会社/社会人はどうしてこの本をおすすめするのか

会社/社会人が新社会人へこの本をすすめる方法

などがスーッとわかるようになるはず。

 

ぜひ最後まで読んでいってほしい。

 

 

 

 

 

結論、この本は「表(渡す側)から見たら紙、裏(貰う側)から見たらゴミ」

 

 

僕がこの本を読んで最初に抱いた感想は例にもれず

「現代社会に全く合っていない」

だった。

 

この本は10年以上前の2011年に発売されている。

「内容」が現代社会に合っていないのは当然だ。僕もそれは折り込み済み。

 

僕が「合っていない」と感じたのは「内容」ではなく、「情報としての在り方」だ。

 

おそらく若ければ若いほどこの違和感はどんどん強くなるだろう。

 

たとえ、内容が2023年版にアップデートされたとしても、現代社会では絶対に通じないと思う。

 

断言する、この本の欠点は「本の内容が古い」ではない。

 

「情報、自己啓発本としての在り方」が完全に時代遅れだ。

 

それが露呈した理由も明確。

・インターネットやSNSが普及して誰でも良質な情報を簡単に取得できる

・日常的に大量の情報に触れている

によるところが大きい。

 

 

そういう意味でこの本は

発売当初は「栄養剤」程度の自己啓発本だったが、「時代」「環境」のせいで「取り扱い注意の劇薬」に変化した

と言える。

 

渡す側から見えている表紙から見れば神本かもしれないが、貰う側から見えている裏表紙から見ればゴミ本かもしれない。

 

あと単純に、各章のテーマとそのまとめがズレていることが多い。

 

メールをすぐ返事しよう!

のまとめが

簡潔な文を書くには、、、というまとめ方をされている。

純粋に読みづらい

 

ただまぁ、何十年も重宝される本なんて一握りだし、自己啓発本なんてそんなもんよね。

 

「入社一年目の教科書」について

 

今更だがこの本について軽く触れておく。

 

この本は、

・東大卒

・司法試験合格者

・ボスコン

・ハーバードMBA

・ライフネット生命の創業

という経歴を持つ岩瀬大輔さんが「社会人の心得を若手社会人に向けて書いた」本だ。

 

いわゆるスーパーエリート、マジパナイ。

 

そんな人が考える「社会人の心得」を知れるなら、購入する価値はあると考える人は多いと思う。

 

気になる方は是非買ってみて読んでほしい、メルカリで。

 

「ゴミ扱いされる問題」について

 

2018年頃にこの本を貰った新社会人が

「会社からゴミ本貰った」

という旨のツイートを炎上してこの本は話題になった。

今でも4月になると書店に並ぶとこもあるらしく、時々話題になる。

 

 

僕が考える「この本がゴミ扱い」される問題。

 

理由は大きく分けて2つあると考えられる。

それは

①情報としての在り方

②渡す側と受け取る側のコミュニケーション不足

だ。

 

①は冒頭でも述べたが「情報」としては現代でほぼ通用しない、という点

②は企業側と新社会人側で思惑が違い過ぎる、という点だ。

 

それぞれガッツリ考察していく。

 

①「情報の在り方」に問題あり?

大前提として、この本は今から10年以上前に書かれた本だ。

 

情報や考えたが古いのは当たり前。

当時と比べて取り巻く環境や社会が全く違う。

「カバン持ちをしろ!」「宴会芸は死ぬ気でやれ!」なんてのも出てくる。

 

なんどもいうが、問題はそこじゃない。

 

この本は社会人としての在り方が「3つの原則」と「50個の項目」から成り立ってる。

原則や項目は時代遅れのものがあれど、的外れなものはない。

これも問題ではない。

 

 

この本の最大の問題は、説明の根拠や理由のほとんどが「岩瀬大輔さん(筆者)の体験談」ということ。

 

自己啓発本なら当たり前じゃん、と思うかもしれない。

 

その通り。

一般的な自己啓発本なら筆者の体験談が入るのは当たり前だ。

 

ただ、最近の自己啓発本の書き方としては

1.「○○をすべき」

2.「簡潔な例や資料を用いて客観的に納得できる根拠」

3.「ダメ押しで自分の体験談」

の順で書かれており、役割としては「根拠の補足」になっていることが多い。

 

その理由として「誰でも納得してもらえる」内容を目指しているから、と考えられる。

 

ただ、この本は違う。

・2と3の境目が曖昧

・例が非常に冗長

・意見論評思想も含む

端的にいうと

筆者の体験談が根拠そのもの」になっている。

 

つまり、「筆者の経歴」を知らない人が読むと「ただの自分語りの本」に成り下がってしまう。

それを更に加速させているのが「体験談による冗長な例え話」だ。

「A社の○○(役職)」と書けば良いところを「○○会社で○○年勤めている○○(役職)の○○さん」みたいに超細かく書いている。

 

純粋に自己啓発をしたい読者としては筆者が

「誰に褒められた」

「誰に叱られた」

「お世話になった」

全く興味がない

 

「どうして○○をすべきなのか?」の納得できる根拠が知りたいだけなのだ。

 

筆者に興味があるのは「ファン」だけだ。

 

一般的な新社会人に勧めている本なのにもかかわらず、例題に出てくるのは「海外の大学」「○○社の社長」など「エリートならではの体験」ばかりだ。

穿った見方をすれば「自慢したいだけじゃない?」とも思える。実際にレビューサイトでも同様の感想を持つ人はいた。

 

ただ、この書き方の理由わかる。

発行した当時の2011年はこういう書き方が良しとされていたのかもしれない。

というのもこの本は根拠として「自分の経歴」「関わったビジネスパーソンの格」を利用しているからだ。

 

ただ、現代においては「誰もがわかりやすく納得できる理由」がないと受け入れてもらえない。

 

自分の意見や体験談はSNS上でいくらでもいえる。

そんな中で大事なのは、「納得できる理由」と「共感」だ。

 

この本において僕はほとんど感じ取ることができなかった。

 

現代はショート動画とか「短時間の娯楽」が主流であり、「オチ」を早く求める風潮がある。

 

要は「さっさと結論を言え」だ。興味のない人の自慢話を聞かされた後に結論がきても、なにも共感はできない。せいぜい「自慢お疲れ様です。で?」だ。

 

若い世代の新社会人に受け入れられないのも当然だと言える。

 

 

時代の流れに全く合っていないというのはそういう意味。

 

②「双方のコミュニケーション不足」が真の問題!?

 

この炎上で問題の本質は

「入社する企業から新卒は時代遅れのゴミ本を貰った」

ではない

企業が良かれと思って渡した本が新人にとってはゴミだった

という点だ。

 

一般的な企業や普通の人はゴミを他人に渡さない。

 

「企業が社畜を育成したいだけだろ!」という人もいるかもしれない。

そんなわけない。本当にブラック企業が社畜を育てるならこの本を読ませるなんてのは生ぬるい。

 

 

企業の人事や総務もバカじゃない。

「古くて使えない本」をわざわざ新人に渡すだろうか?

宴会芸やカバン持ちが今の時代ではコンプライアンスに引っ掛かることなんぞ重々承知してる。

 

新人だってバカじゃない。

「情報が古いだけの本」をわざわざ「ゴミ」と断言するだろうか?しかも本は頑張って内定をもらった企業からのプレゼントだ。

 

明らかになにかがおかしい。

 

 

一般的な感性を持つ相手と意見が合わない時に真っ先に疑うべきことは「相手と前提条件が共有できていない」ことだ。

 

極端な例だが、「アーモンドが体に良い」という話をする時に前提があっていないと

Aさん「アーモンドって(適量なら栄養があって)体に良いよね」

Bさん「アーモンドって(脂質多いし食べ過ぎると)体に悪いよ」

となる

 

前提を

「大量に食べると」とするとBさんが正しい

「毎日適切に食べると」とするならAさんが正しい

 

普段からあまり意識していないが前提条件とはとても大事だ。

 

話を戻す。

この本が

・企業(社会人)にとっては良いと思える本

・新社会人にとってはゴミと思える本

なのは、前提条件が異なっている可能性が非常に高い。

 

ということで、それぞれの前提条件を深堀していく。

 

企業側


 

渡す企業側を深堀してみる。

 

総務や人事などの担当が

「弊社の新人の為に人件費をかけて本を選出・経費を使って購入する」

よほどの無能でもない限り「内容が古すぎて使えない本」を購入するとは考えにくい。

 

ということは担当にとっては「意味がある本」となる。

 

意味がある本と判断する理由の1つとして

「社会人にとって有用な思考法や情報が多い」

が考えられる。

 

一般的に本を読んだとき

・ためにならないこと

・ためになること

どちらが記憶に残るだろうか?

ほとんどは後者だ。

 

「この本のここが役に立った!」を明確に覚えている人は多いと思うが「役に立たなかった」を覚えている人は少ないと思うし、いずれ忘れる。

 

そして結果として「役に立たない部分」はほとんど忘れられ、「役に立つ情報が多い本」と認識される。

 

更に担当は

「自分の過去の失敗」

「過去にこうしておけば」

という後悔を新人に味わってほしくないという心境も持ち合わせているかもしれない。

 

つまり渡す側は「役に立たない情報があるのは知っているけど、その部分を加味してでも新人に読んで失敗してほしくない」という親心がある

 

 

新人側


 

受け取る新人側を考察してみる

 

「①情報の在り方に問題あり?」にも散々書いたが

この本は現代に全く即していない。

・本の内容が古い

・明確なエビデンスがない

・例がほとんど実体験

・各項目の理由もほとんど実体験

 

「大企業の○○さんと話せた」

「○○円の価値がある」

「上司に褒められた!」など、自分は成功したからこうすべきだ!という論調が多い。

科学的なエビデンスや論文などは全くと言っていいほど登場しない、筆者100%主観の本だ。

 

この本の発売当初の2011年ならいざ知らず。

現在はSNS時代で世の中には情報はあふれまくっており、上質な情報が無料で手に入る時代。

 

そして残念ながらこの本特有の

・実体験の自慢

・エビデンス無しの自分の成果

・エビデンス無しの自分の成功体験による方法論

で作られている情報は

「詐欺の情報商材」の特徴と酷似している

 

やっとの思いで内定をとった会社から

「参考になるよ」

と渡されたものがそんな本だったら絶望するし、ゴミ扱いしたくなる気持ちもわかる

 

彼らにとっては中身は「詐欺の情報商材」と遜色ないのだから。

 


 

企業と新人でこう考察すると合点がいく。

 

不安いっぱいの新人に対して「これ飲んでね。効果が出るのもあるし出ない効果もあるよ」と説明書も渡さずに薬を渡しているようなもんだ。

 

そりゃ不信感も抱くし「ゴミ」と称することもしょうがないと言える。

 

この本の有効な使い方

この本をここまでボロクソに言ってきたわけだが、何度も言うように「中身はそこまで的外れではない」

 

内容だけ見れば中にはやはり新人に覚えておいてほしいこともある。

 

よって今からこの本の有効な使い方を僕なりに提案していく。

 

個人での使い方

何度でも言うがこの本の最大の問題点は

・明確なエビデンスがない

・例がほとんど実体験

・各項目の理由もほとんど実体験

という点だ。

 

つまり、これ以外の部分が有用だということ。

 

なので僕は不要なところを全て潰した。

 

 

この筆者が伝えたいことは何だろう?と考えながら不要だと思うところは塗りつぶしていく。

塗りつぶすためには一回、真剣に本を読みこむ必要がある。

 

そうすることで自分の思考力は上がるし、自分にとって読みやすい本が出来上がる。

 

僕は1項目1ページ未満の分量になった。

 

新人への渡し方

上記のように流石に新人に対して塗りつぶした本を渡すのはいささか抵抗がある。

なのでもし仮に新人に対して渡すのであれば

 

パターン①

あらかじめ古い本だということを伝えてこの本のどこが「参考になったか」「参考にならなかったか」を課題として与える。その後、新人研修で討論会などを行う

 

パターン②

総務・人事はいったん読んで必要な部分をピックアップしておき、新人へ渡す際に「この本には先輩社員が公開たことがたくさん載ってる。後悔しないためにぜひ読んでほしい。ただちょっと古いので、読んでほしいところをピックアップした。具体的なのは・・・」と明確に教えてあげるべきだ

 

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安く買えるので書き込むのにも躊躇はない。

 

 

まとめ

 

今更だが、数年前に炎上した「入社1年目の教科書」についてなぜゴミと言われるか?を考察・解説した。

 

結論としては

・「本の情報としての在り方が古い」

・「企業⇔新人間のコミュニケーション不足」

の二点が問題だと思う。

 

 

時代にそぐわない点もややある本ではあるが、

根拠や理由を自分で考えることができる人にとってはまだまだ有効だ。

 

いわゆる「意識高い系」の登竜門に位置する本。

 

興味があったら是非読んでほしい。

 

また、53個の内容に対して全て考察する記事も別途執筆する予定なので興味があればぜひそちらも読んでほしい。

 

以上。

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